ネット上での名誉棄損、プライバシー侵害裁判事例

【裁判例】「忘れられる権利」に言及した決定


裁判所がはじめて「忘れられる権利」に言及した判断がなされ、注目されています(さいたま地決平成27年12月22日・判時2282号78頁)。
 
同決定に係る事案は、検索エンジンの検索結果(表題またはスニペット)に自身の逮捕に関する記事が表示されたことから、同検索結果の削除を求めたというものです。
 
同決定は、「一度は逮捕歴を報道され社会に知られてしまった犯罪者といえども、人格権として私生活を尊重されるべき権利を有し、更生を妨げられない利益を有するのであるから、犯罪の性質にもよるが、ある程度の期間が経過した後は過去の犯罪を社会から『忘れられる権利』を有するというべきである。」として、忘れられる権利に言及しました。
 
その上で、「インターネットが広く普及した現代社会においては、ひとたびインターネット上に情報が表示されてしまうと、その情報を抹消し、社会から忘れられることによって平穏な生活を送ることが著しく困難になっている」ことも考慮すべきとしました。
 
結論として、検索結果を削除することを認めたものです。
 
 
「忘れられる権利(right to be forgotten)」については、EU司法裁判所において、2014(平成26)年にこれを認める先決決定がなされています。
同決定では、検索エンジンで個人の名前に基づいて検索した結果として表示されるリンク先の情報が、合法的に公表され、当該ページに公表され続けている場合でも、検索エンジンの事業者に削除を義務付けることができる旨の判断がなされています。
 
 
今後、本決定と同種の判断がなされることも予想され、実務に影響する重要な決定と思われます。


ページの一番上に戻る